Ringside Room

ボクシング観戦記。簡単な感想を書いています。タイトルマッチ、話題の試合中心です。

WBA世界スーパーフェザー級暫定王座決定戦 クリス・コルバート VS ジェスレル・コラレス

2020年1月18日
アメリカ ペンシルベニア州フィラデルフィア リアコウラスセンター

○クリス・コルバート[判定 3-0]ジェスレル・コラレス●
コルバートが暫定王者となる。

コルバートVSコラレス
器用さも強さも見せたコルバート(左)

 プロスペクトのコルバートが暫定王者決定戦に登場。相手のコラレスはマチャドに負けてからいまいちパッとしないが、まだまだ力のあるファイターではある。コルバートは真価が問われる試合となる。

 序盤からお互い駆け引きをしながらハイスピードな攻防戦を展開している。コルバートはジャブで的確にリードし、立ち回りも巧い。コラレスは出入りの距離感を工夫しながら右フックなどを軸に試合を組み立てようとしている。

 中盤、コルバートが色々なアクションを見せながらコラレスを崩そうと試みるが、コラレスは簡単に隙を見せない。お互いが自分のスタイルを貫いたまま試合は激しさを増してきた。

 全体的に的確さではコルバートが上回っていると思うが、終盤に入ってもコラレスは退かず、自ら前に出て活路を見出そうとしている。10ラウンド、近距離の乱打戦の中でタイミングよくコルバートが右フックを当ててダウンを奪った。コラレスにとって、ここでのダウンは痛恨だった。最終ラウンドまで激しい攻防戦が続き試合終了。

 判定でコルバートが勝利。暫定ながら無敗でついにタイトルを手にした。コルバートは器用なうえに的確だった。コラレスも持ち味は出していたが及ばず。お互いスタイルを崩すことなく意地と意地がぶつかり合った良い試合だった。

IBOウェルター級タイトルマッチ セバスチャン・フォルメラ VS ロベルト・アリアザ

2020年1月18日
ドイツ ハンブルグ Edel-optics.deアリーナ

○王者 セバスチャン・フォルメラ[判定 3-0]挑戦者 ロベルト・アリアザ●
フォルメラが初防衛に成功。

フォルメラVSアリアザ
防衛に成功したフォルメラ(右)

 フォルメラはムベンゲから奪った王座の初防衛戦。IBFではランク入りし、着実に名をあげてきている。このベルトはマイナータイトルながら、ウェルター級に関しては、なかなかの実力者が巻いている。相手のアリアザは一流どころとの試合経験はあるが良い結果を残せていない。タイトルを奪取し、なんとか箔をつけたいところ。

 序盤からフォルメラはヒットアンドアウェイを繰り返し冷静に立ち回っている。対するアリアザは離されないよう前に出続け単発になりながらもとらえている。パワーではアリアザに分がありそうだ。

 中盤もフォルメラは距離をとって戦っている。しかし、アリアザも追い詰めては強打を当てている。戦い方的にフォルメラがペースを握れているかといえば実際はそうでもない。

 終盤はフォルメラのクリーンヒットが上回ったように見えた。アリアザも猛攻をかける場面はあったがフォルメラはしのぎ切った。

 判定でフォルメラの勝利。終盤はフォルメラがほぼ取ったと思うが、それ以外は結構拮抗した試合だったと思う。フォルメラはそこまで安定感はなかったが、手ごわい相手を乗り越えて自信はついたかもしれない。
 

OPBFミドル級タイトルマッチ 細川チャーリー忍 VS 竹迫司登

2020年1月18日
日本 東京 後楽園ホール

○挑戦者 竹迫司登[判定 3-0]王者 細川チャーリー忍●
細川が初防衛に失敗。竹迫が新王者となる。

細川VS竹迫
終始ペースを握っていた竹迫(左)

 OPBF王者の細川と日本王者の竹迫が激突。世界を見据える強者同士のマッチアップ。おそらく国内ミドル級最強決定戦だろう。

 序盤から竹迫の右ストレートが細川をよくとらえている。細川も多少返しながら同じ距離間で勝負をしたそうな様子ではあったが些か悪い。

 中盤も相変わらず竹迫のペースで試合が進む。左ボディもよく入るようになってきた。細川はちょっと簡単にもらいすぎている。そしてダメージからか反撃もできずクリンチで逃れるしかない。

 終盤、劣勢な細川が逆転を狙って前に出ようとするものの、竹迫が押し返してそうはさせなかった。細川はほとんど見せ場を作れず試合終了。

 判定で竹迫の勝利。竹迫はKOを逃したが、今回は細川の打たれ強さが優れていた。その他全般においては竹迫が格段に上回っていた。絡みついてくる相手をもっとスムーズに剥がせていたらKO勝利もあったかもしれない。

ハイメ・ムンギア VS ゲイリー・オサリバン

2020年1月11日
アメリカ テキサス州サンアントニオ アラモドーム

○ハイメ・ムンギア[11R KO]ゲイリー・オサリバン●

ムンギアVSオサリバン
転級初戦のムンギア(左)

 ムンギアのミドル級転向初戦。ミドル級でも通用すると思われるが、この試合がひとつの指標となるか。そして、それを示すにはオサリバンは絶妙な相手と言える。ネームバリューもあり、転級初戦としては盛り上がりも十分だ。

 序盤、慎重さを見せながらもムンギアが持ち前のパワーを活かして攻める。しかし、回を追うごとにオサリバンも臆することなく正面から攻め始め、スリリングな展開となっている。

 中盤あたりから打ち合いが激しさを増してきた。その中で徐々にムンギアの方が連打の回転力で勝るようになり、オサリバンは退いてはいないが、ダメージが蓄積されつつある。

 終盤はパワー差が顕著になり、オサリバンは押され気味で明らかにダメージがある。だが、ムンギアの強打をもらっても前に出続け、粘りを見せる。迎えた11ラウンド、ついにムンギアが完全にスキルとパワーで上回り、ロープ際でラッシュしてオサリバンを倒した。オサリバンが右をもらった時点で陣営はタオルを投入しており、崩れると同時にレフェリーが止めた。

 ムンギアはミドル級初戦勝利。強打をカウンターで当てても倒れずに食い下がるオサリバンに苦労したが、最後は明確な形で倒しきった。パワーは十分だし動きにキレもある。ムンギアの場合は減量苦から解放された恩恵が大きいように感じた。

NABOライトヘビー級王座決定戦 ジェシー・ハート VS ジョー・スミスJr

2020年1月11日
アメリカ ニュージャージー州アトランティックシティ ハードロックホテル&カジノ

○ジョー・スミスJr[判定 2-1]ジェシー・ハート●
スミスが新王者となる。

ハートVSスミス
攻めたてるスミス(左)

 王座挑戦経験がある者同士の生き残りをかけたサバイバルマッチ。実力は拮抗していると思われる好カード。勝った者が再び浮上の目を得る。

 前半からスミスがパワーにものを言わせてガンガン前に出ていく。ハートは一方的に強打をもらう場面などがあり不安定だ。早い段階からスミスがペースを握って試合が進む。

 後半に差し掛かるあたりから、ハートがスミスの動きをつかみ始めた。しかし、さばきながら少しずつ反撃しているだけでは主導権を奪えない。7ラウンドにはコーナーに詰められたハートが回り込もうとしたところに、スミスが右フックを叩き込んで倒した。スミスは9ラウンドにも右の強打でハートをよろめかせてKO寸前に。終始、スミス優勢で試合終了。

 意外にも判定が割れたが、スミスの勝利。ハートが持ち味を発揮できずほとんど封じ込まれたのは意外だった。隙を見せず、攻勢の手を緩めなかったスミスが見事だった。