Ringside Room

ボクシング観戦記。簡単な感想を書いています。タイトルマッチ、話題の試合中心です。

WBA世界クルーザー級スーパー王座戦 アルセン・グラミリアン VS コンスタンチン・ベジェナル

2019年12月28日
フランス マルセイユ パレデスポーツ

○王者 アルセン・グラミリアン[9R KO]挑戦者 コンスタンチン・ベジェナル●
グラミリアンが3度目の防衛に成功。

グラミリアンVSベジェナル
棄権に追い込んだグラミリアン(右)

 短いスパンでの防衛戦となったグラミリアン。相手は8位の謎のモルドバ人ベジェナル。そこまで大した相手とはやっていなさそうだ。グラミリアンにとっては今年を締めくくるチューンナップ戦といった意味合いが強いだろう。

 序盤、体格で劣るベジェナルが勇猛果敢に連打で攻めている。一発の威力はグラミリアンにあるだろうが、展開的にはベジェナルが若干優勢。

 5ラウンドにグラミリアンが入れた1発の右ストレートをきっかけに形勢が変わり始めた。ベジェナルの連打の回転力はまだ落ちてはいないが、グラミリアンがパワーで押す場面が増えてきた。

 迎えた9ラウンド、グラミリアンがロープ際に詰め、カウンターのタイミングで放った左フックでダウンを奪った。ベジェナルは疲労とダメージを見せながらも粘ったが、9ラウンド終了時で棄権となった。

 グラミリアンの勝利。ペースを握ってからは落ち着いた試合運びで余裕も感じられた。ベジェナルは最後は棄権してしまったものの、予想以上に健闘した。

WBA世界ミドル級タイトルマッチ 村田諒太 VS スティーブン・バトラー

2019年12月23日
日本 神奈川県横浜市 横浜アリーナ

○王者 村田諒太[5R TKO]挑戦者 スティーブン・バトラー●
村田が初防衛に成功。

村田VSバトラー
豪快に倒して勝った村田(右)

 王座を奪還した村田の初防衛戦。日本のメディアは相手のバトラーを最強の挑戦者のように煽るが、そこまで手ごわいと言えるような実績をもつ相手ではない。地域王座やマイナータイトルを獲っているのでそれなりの実力はあるとは思うが。村田は勝利は前提として明確な勝ち方をしないと次につながらないだろう。

 序盤から村田が出し惜しみなく右を軸に攻めていく。パワーは村田の方が上。だが、バトラーも簡単には退かず応戦。なかなか退かない相手に村田はより強くプレッシャーをかける。半ば強引に見えたが、回を追うごとにコンビネーションも的確に当たり始めた。
 
 迎えた5ラウンド、何度も村田の右を浴びてきたバトラーが、またもや強烈な右ストレートを浴びてついに崩れた。そこから村田が連打を仕掛けて、コーナー付近でバトラーをキャンバスに沈めた。

 多少打たれたが、ほぼ難なく村田の勝利。バトラー相手には十分な内容だったと思う。バトラーはプランBがあればもう少し粘って戦えたかもしれない。引き出しが少なかった。

 村田がインタビューで言っていたリアルな戦いがどうなるか気になる。ゴロフキンやカネロ戦が実現したら熱いが実際は難しいだろう。チャーロとアンドラーデは統一戦をするかもしれないし王者勢は厳しいかもしれない。もしくは暫定王者のユーバンクでも十分リアルな相手だと思う。いきなりは無いと思うがムンギア戦などが決まったらかなり驚く。

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ 寺地拳四朗 VS ランディ・ペタルコリン

2019年12月23日
日本 神奈川県横浜市 横浜アリーナ

○王者 寺地拳四朗[4R TKO]挑戦者 ランディ・ペタルコリン●
寺地が7度目の防衛に成功。

寺地VSペタルコリン
TKOでV7達成の寺地(右)

 今や安定王者として君臨する寺地の7度目の防衛戦。アルバラードとの統一戦が消滅してしまい相手はペタルコリンに。現在WBC12位ながら世界挑戦経験のある実力者。日本のメディアは寺地の楽勝ムードなのかあまり煽っていないが、ランキング以上に強い侮れない相手だ。

 立ち上がりは両者まずまず。両者とも空間把握能力が高く駆け引きをしている。2ラウンドに入るとペタルコリンが左ストレートを軸に攻めてくる。寺地は少しさがりながらなんとか捌いて対応。迎えた3ラウンド、寺地の右ボディストレートが炸裂し、ペタルコリンがダウン。再開したが、明らかにパフォーマンスが落ちたペタルコリンを、寺地はさらに立て続けにボディで2度倒した。ゴングに救われ、4ラウンドに入ったペタルコリンだが、寺地が今度は左ボディで倒して万事休す。

 寺地があっさりと7度目の防衛に成功。途中ペタルコリンの左の脅威にさらされつつも、地力の差を見せてねじ伏せた。戴冠したばかりの頃に比べると格段に強くなった。
 ESPNはフルで放送していたのに、聞くところによると日本のフジテレビはこの試合を少し削ったらしい…。
 

IBF世界フライ級タイトルマッチ モルティ・ムザラネ VS 八重樫東

2019年12月23日
日本 神奈川県横浜市 横浜アリーナ

○王者 モルティ・ムザラネ[9R TKO]挑戦者 八重樫東●
ムザラネが3度目の防衛に成功。

ムザラネVS八重樫
終盤に力を発揮したムザラネ(右)

 これが八重樫の最後の挑戦となるかもしれない。王者のムザラネは年齢的にはベテランの域だが、まだはっきりとした衰えを見せない力のある王者。片や衰えを見せる八重樫には厳しい戦いとなる。

 序盤は八重樫がフットワークを駆使してアウトボクシングを展開。コンビネーションにもキレがあり、状態の良さがうかがえる。ムザラネは八重樫の動きについていけていない。

 4ラウンドに八重樫がボディでムザラネの動きを止めたのをきっかけに攻勢をかける。ムザラネは効いているのか、動きがワンテンポ遅い。しかし、7ラウンドにムザラネは右ストレートから左フックのコンビネーションを入れて反撃開始。一瞬にして自らよりも重いダメージを八重樫にあたえた。

 迎えた9ラウンド、八重樫は少し立ち直ったかに見えた。だが、ムザラネが隙をついて強力な右ストレートを浴びせて動きを止める。そこから追い込んでいったところでレフェリーストップとなった。

 ムザラネのTKO勝利。ポイントではおそらく劣勢だったであろう状況から、一気に形勢逆転させて決めきったのは見事。八重樫は予想以上に動きが良く善戦したが及ばず。パンチをもらった時の反応などを見ると、さすがにここらが潮時なのかもしれない。

WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ トニー・ハリソン VS ジャーメル・チャーロ

2019年12月22日
アメリカ カリフォルニア州オンタリオ トヨタアリーナ

○挑戦者 ジャーメル・チャーロ[11R TKO]王者 トニー・ハリソン●

ハリソンVSチャーロ
11ラウンドに一気に試合を決めたチャーロ(右)

 チャーロとハリソンのリマッチ。前回、僅差判定でベルトを失ったチャーロは何としても奪回したい。ハリソンは明確な差を見せて実力を示せるか。初防衛戦にして試練を迎える。

 序盤からチャーロがやや大振りながら強引に攻める。2ラウンドには強烈な左フックで早々とダウンを奪った。ハリソンはダウンしたものの、その後のラウンドでは防戦に回りながらも的確な反撃を見せる。

 中盤に入ると近い距離での攻防戦が展開される。ハリソンはガードが上手く、強打のあるチャーロに対応。そして隙の少ない無い攻撃で巧みに立ち回っている。チャーロはコンパクトな攻撃に切り替えて手を出し続けているが、あまりクリーンヒットさせることができない。

 終盤になるとミドルレンジで一進一退の攻防戦が繰り広げられる。だが、迎えた11ラウンド、チャーロがほんの一瞬の隙をついて左フックでハリソンを倒した。再開後もロープ際に詰めて連打でダウンを奪う。ハリソンはまたも立ち上がり再開となったが、チャーロが一方的に詰めにいったところでレフェリーが割って入った。

 チャーロの勝利で王座奪還成功。パワーもさることながら、ここぞという場面での強打を当てる巧さが際立った。ハリソンはストップに不満を爆発させていたが、2度目のダウンの時点でほぼ勝負はついていた。ストップのタイミングとしては致し方ない。ハリソンは攻防の技術レベルがかなり高い。チャンスさえあれば再び王者を狙えるかもしれない。