Ringside Room

ボクシング観戦記。簡単な感想を書いています。タイトルマッチ、話題の試合中心です。

ジェフ・ホーン VS アンソニー・マンディン

2018年11月30日
オーストラリア プリズベン

キャッチウェイト71キロ契約12回戦
○ジェフ・ホーン[1R KO]アンソニー・マンディン●

ホーンVSムンディン
初回KO勝ちのホーン(奥)

 クロフォードに敗れて王座陥落したホーンの復帰戦。相手は元スーパーミドル級王者のマンディン。復帰戦にしては注目度を集めたカードだ。

 試合開始からホーンが積極的に仕掛けた。マンディンへの警戒を見せたのは開始直後のほんの一瞬だけで、すぐに距離を詰め強烈なパンチを放っていった。そしてわずか90秒でマンディンをキャンバスに沈めた。

 フィニッシュブローとなったホーンの左フックは単純なコンビネーションだったが、マンディンはまるで反応できずまともに正面から食らった。マンディンはもうキャリアの終幕が近いだろうなと思える負け方だった。

 ホーンはまだ一線級で戦える。クロフォードに負けたのは今思えばもうあの時は仕方のないことだ。もう一度トップ戦線に絡んでウェルター級を盛り上げてほしい。

WBA世界ミニマム級タイトルマッチ ノックアウト・CPフレッシュマート VS バイロン・ロハス

2018年11月29日
タイ チョンブリー

○王者 ノックアウト・CPフレッシュマート[判定3-0]挑戦者 バイロン・ロハス●
ノックアウトが10度目の防衛に成功

ノックアウトVSロハス
再戦に勝利したノックアウト(右)

 ノックアウトの10度目の防衛戦は因縁のロハスとの再戦となった。そしてロハスは現時点で最強の挑戦者と言って良いでしょう。実力伯仲の好勝負が期待されていた。

 試合は序盤から、なかなかハイペースな打ち合いとなる。ノックアウトはボディを中心としたコンビネーションで攻めていく。対するロハスは顔面に的確なパンチを当てていた。クリーンヒットはほぼ互角か。

 中盤に差し掛かるあたりからクリンチ多発の試合展開となるが、ノックアウトの方が手数とクリーンヒットで上回った印象。ノックアウトのパンチの精度が上がってきた。

 終盤に入っても似たような展開が続く。ロハスが何度かノックアウトに効かせるパンチを入れたが、ノックアウトは簡単には下がらない。若干ノックアウトの方が手数で押していた。中盤以降あまり見せ場が無いまま試合終了。

 もみ合いになる場面が多く判断しにくいという意味で、全体的にほぼ互角の内容だったが、ノックアウトの方が少し手数で上回ったかなという印象。
 そして、ここでロハスを退けたのは大きい。ノックアウトはまだ防衛記録を伸ばしていくだろう。

WBA世界ライトヘビー級タイトルマッチ ドミトリー・ビボル VS ジャン・パスカル

2014年11月24日
アメリカ ニュージャージー州アトランティックシティ ハードロックホテル&カジノ

○王者 ドミトリー・ビボル[判定3-0]挑戦者 ジャン・パスカル●
ビボルが5度目の防衛に成功

ビボルVSパスカル
完勝したビボル(左)

 暫定も含めると今回が5度目の防衛戦となる王者ビボル。元王者のパスカルを退けビッグマッチへと望みをつなぎたいところ。相変わらず角刈りが似合っている。日本だと角刈りはチンピラのイメージがあるけどキルギスではどうなんでしょう。

 試合は序盤からビボルのペース。ストレートとフックを中心にしてコンパクトかつ鋭いコンビネーションでパスカルを攻めていく。パスカルはほとんど手が出ず。反撃しても大振りが目立つ。4ラウンドにビボルの右フックでパスカルが崩れて手をついたが、ここはスリップの判定。

 中盤に入っても展開は変わらない。ビボルは得意な距離を保って、やりたいように自分のボクシングをしている。パスカルの奇を衒うパンチにも全く動揺しない。
 8ラウンドに突如パスカルが猛攻を仕掛けたが、ビボルは落ちついて捌ききってから冷静に的確な反撃をしていった。

 終盤に差し掛かるあたりからパスカルはクリーンヒットをもらうと明らかに効いた様子を見せ始めた。ダメージが蓄積してきたようだ。それでも効いていないというような挑発をしてビボルの猛ラッシュを食らう。終始ビボル優勢のまま試合終了。

 ビボルは力の差を見せつけて、パスカルにほとんど何もさせず完勝した。しかしKOはできなかった。観ていて思ったがKOを狙いにいくそぶりを見せなかった。結果的にKOできれば良いなという感じだったのだろうか。かなり手堅い試合運びだったと思う。ビッグマッチに向けてアピールするには少し物足りなかったかもしれない。それでもベテルビエフとの統一戦は見たいのでぜひ実現してほしいところ。

WBAインターコンチネンタル スーパーバンタム級タイトルマッチ ムロジョン・アフマダリエフ VS アイザック・サラテ

2018年11月24日
アメリカ ニュージャージー州アトランティックシティ ハードロックホテル&カジノ

○王者 ムロジョン・アフマダリエフ[9R TKO]挑戦者 アイザック・サラテ●
アフマダリエフが初防衛に成功

アフマダリエフVSサラテ
TKO勝ちのアフマダリエフ(左)

 S・バンタム級トップランカー同士の注目の一戦。インターコンチネンタル王座云々よりも勝った方が世界へぐっと近づくサバイバルマッチ。

 試合はお互いが隙を見せない慎重な立ち上がりでスタート。サラテがコンビネーションで攻める場面もあったが、回を追うごとにアフマダリエフが強烈なパンチを振るうようになり、試合を優勢に進めていく。

 中盤に入るとサラテはジャブから丁寧に組み立てなおそうとするが、アフマダリエフの力強くパワフルな連打で簡単に崩される。サラテは打ち合いにも応じるものの、徐々に押されて打ち負けてしまう。アフマダリエフは相手が下がっても、速い踏み込みで距離を詰めて飛び込みざまに強烈な右を放つ。サラテは何度かまともに食っていた。

 9回ついにアフマダリエフがサラテを捕え、左ストレートでぐらつかせたところでレフェリーストップ。止めるのが早いと思ったが、もしかしたらサラテは左を食って一瞬意識がとんだのかもしれない。

 アフマダリエフは強かった。サラテも強いし良いボクサーだと思う。ただ今回はアフマダリエフがより強かったということ。
 アフマダリエフは現在WBA3位。来年あたりダニエル・ローマンへの挑戦を実現させてほしい。攻撃面はやや粗いし、ディフェンス面も若干甘いところがあるが、パワーとパンチの切れはアフマダリエフに分があると思う。
 いずれにしろアフマダリエフが世界タイトルを奪取する日は近いのでは。

デニス・レベデフ VS マイク・ウィルソン

2018年11月24日
モナコ モンテカルロ

クルーザー級12回戦
○デニス・レベデフ[判定3-0]マイク・ウィルソン●

レベデフVSウィルソン
判定勝利となったレベデフ(左)

 WBAクルーザー級休養王者のレベデフが登場。休養王者のわりに9月にも試合をしていたようだが見逃した。まずはせめてグラミリアンと統一戦をしてほしいところ。WBAのクルーザー級は依然として混沌としたままだ。今回の試合はコンディションどうだろうか。

 試合序盤は静かな立ち上がり。お互い様子見で進んでいく。ウィルソンのジャブがレベデフをよく捕えていた。レベデフは距離を詰めてボディから攻めていた。

 中盤に差し掛かるあたりから徐々にレベデフが調子を上げてきた。KOを量産してきた左の豪打がウィルソンの顔面を捕え始める。ウィルソンは何度か食らい鼻血が止まらなくなる。まともに食らったりしていたがダウンはなかった。レベデフはボディ打ちも光っていた。

 終盤再びウィルソンの左がよく当たる場面があったが、レベデフは被弾覚悟で意に介していないのか、強引に距離を詰めて強烈なブローを放っていく。得意の左を何度かウィルソンにクリーンヒットさせるもののKOには至らず試合終了となった。

 レベデフはひと頃のような動きのキレは無かったが、左の強打は今だ健在と見ていいと思う。ダウンこそ奪えなかったが、まともに食ったウィルソンには確実なダメージがあった。衰えがあるのは確かだがまだ錆びついてはいない。次戦、また今後の動向に注目しておきたいと思う。