Ringside Room

ボクシング観戦記。簡単な感想を書いています。タイトルマッチ、話題の試合中心です。

2018年11月

WBA世界ライトヘビー級タイトルマッチ ドミトリー・ビボル VS ジャン・パスカル

2014年11月24日
アメリカ ニュージャージー州アトランティックシティ ハードロックホテル&カジノ

○王者 ドミトリー・ビボル[判定3-0]挑戦者 ジャン・パスカル●
ビボルが5度目の防衛に成功

ビボルVSパスカル
完勝したビボル(左)

 暫定も含めると今回が5度目の防衛戦となる王者ビボル。元王者のパスカルを退けビッグマッチへと望みをつなぎたいところ。相変わらず角刈りが似合っている。日本だと角刈りはチンピラのイメージがあるけどキルギスではどうなんでしょう。

 試合は序盤からビボルのペース。ストレートとフックを中心にしてコンパクトかつ鋭いコンビネーションでパスカルを攻めていく。パスカルはほとんど手が出ず。反撃しても大振りが目立つ。4ラウンドにビボルの右フックでパスカルが崩れて手をついたが、ここはスリップの判定。

 中盤に入っても展開は変わらない。ビボルは得意な距離を保って、やりたいように自分のボクシングをしている。パスカルの奇を衒うパンチにも全く動揺しない。
 8ラウンドに突如パスカルが猛攻を仕掛けたが、ビボルは落ちついて捌ききってから冷静に的確な反撃をしていった。

 終盤に差し掛かるあたりからパスカルはクリーンヒットをもらうと明らかに効いた様子を見せ始めた。ダメージが蓄積してきたようだ。それでも効いていないというような挑発をしてビボルの猛ラッシュを食らう。終始ビボル優勢のまま試合終了。

 ビボルは力の差を見せつけて、パスカルにほとんど何もさせず完勝した。しかしKOはできなかった。観ていて思ったがKOを狙いにいくそぶりを見せなかった。結果的にKOできれば良いなという感じだったのだろうか。かなり手堅い試合運びだったと思う。ビッグマッチに向けてアピールするには少し物足りなかったかもしれない。それでもベテルビエフとの統一戦は見たいのでぜひ実現してほしいところ。

WBAインターコンチネンタル スーパーバンタム級タイトルマッチ ムロジョン・アフマダリエフ VS アイザック・サラテ

2018年11月24日
アメリカ ニュージャージー州アトランティックシティ ハードロックホテル&カジノ

○王者 ムロジョン・アフマダリエフ[9R TKO]挑戦者 アイザック・サラテ●
アフマダリエフが初防衛に成功

アフマダリエフVSサラテ
TKO勝ちのアフマダリエフ(左)

 S・バンタム級トップランカー同士の注目の一戦。インターコンチネンタル王座云々よりも勝った方が世界へぐっと近づくサバイバルマッチ。

 試合はお互いが隙を見せない慎重な立ち上がりでスタート。サラテがコンビネーションで攻める場面もあったが、回を追うごとにアフマダリエフが強烈なパンチを振るうようになり、試合を優勢に進めていく。

 中盤に入るとサラテはジャブから丁寧に組み立てなおそうとするが、アフマダリエフの力強くパワフルな連打で簡単に崩される。サラテは打ち合いにも応じるものの、徐々に押されて打ち負けてしまう。アフマダリエフは相手が下がっても、速い踏み込みで距離を詰めて飛び込みざまに強烈な右を放つ。サラテは何度かまともに食っていた。

 9回ついにアフマダリエフがサラテを捕え、左ストレートでぐらつかせたところでレフェリーストップ。止めるのが早いと思ったが、もしかしたらサラテは左を食って一瞬意識がとんだのかもしれない。

 アフマダリエフは強かった。サラテも強いし良いボクサーだと思う。ただ今回はアフマダリエフがより強かったということ。
 アフマダリエフは現在WBA3位。来年あたりダニエル・ローマンへの挑戦を実現させてほしい。攻撃面はやや粗いし、ディフェンス面も若干甘いところがあるが、パワーとパンチの切れはアフマダリエフに分があると思う。
 いずれにしろアフマダリエフが世界タイトルを奪取する日は近いのでは。

デニス・レベデフ VS マイク・ウィルソン

2018年11月24日
モナコ モンテカルロ

クルーザー級12回戦
○デニス・レベデフ[判定3-0]マイク・ウィルソン●

レベデフVSウィルソン
判定勝利となったレベデフ(左)

 WBAクルーザー級休養王者のレベデフが登場。休養王者のわりに9月にも試合をしていたようだが見逃した。まずはせめてグラミリアンと統一戦をしてほしいところ。WBAのクルーザー級は依然として混沌としたままだ。今回の試合はコンディションどうだろうか。

 試合序盤は静かな立ち上がり。お互い様子見で進んでいく。ウィルソンのジャブがレベデフをよく捕えていた。レベデフは距離を詰めてボディから攻めていた。

 中盤に差し掛かるあたりから徐々にレベデフが調子を上げてきた。KOを量産してきた左の豪打がウィルソンの顔面を捕え始める。ウィルソンは何度か食らい鼻血が止まらなくなる。まともに食らったりしていたがダウンはなかった。レベデフはボディ打ちも光っていた。

 終盤再びウィルソンの左がよく当たる場面があったが、レベデフは被弾覚悟で意に介していないのか、強引に距離を詰めて強烈なブローを放っていく。得意の左を何度かウィルソンにクリーンヒットさせるもののKOには至らず試合終了となった。

 レベデフはひと頃のような動きのキレは無かったが、左の強打は今だ健在と見ていいと思う。ダウンこそ奪えなかったが、まともに食ったウィルソンには確実なダメージがあった。衰えがあるのは確かだがまだ錆びついてはいない。次戦、また今後の動向に注目しておきたいと思う。

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ カリド・ヤファイ VS イスラエル・ゴンサレス

2018年11月24日
モナコ モンテカルロ

○王者 カリド・ヤファイ[判定3-0]挑戦者 イスラエル・ゴンサレス●
ヤファイが4度目の防衛に成功

ヤファイVSゴンザレス
苦戦したヤファイ(左)

 最終会見でヤファイがインパクトを与える試合をすると豪語していた。相手のゴンサレスは14位となっておりランキング差もあることからヤファイの戦いぶりに注目が集まっていた。どうしてもシーサケットやアンカハスの方が実績があるし華もあるので、ここらでヤファイも自らの言葉通りインパクトを残したいところ。

 試合序盤はヤファイが左の差し合いで勝り、優勢に試合を進めた。ゴンサレスのパンチに連続して簡単にカウンターを合わせる場面もあり光るセンスを見せる。ゴンサレスはストレート系のパンチで対抗し、決して完全に押されてはいなかった。
 
 中盤に入るとヤファイの動きが若干単調になりゴンサレスが攻め込んでいく。伸びのあるワンツーを主体にコンビネーションを繰り出し優位に試合を進めていた。ヤファイはゴンサレスのストレート系のコンビネーションに苦戦する。

 終盤はヤファイが力強いパンチを多く繰り出し再び流れを取り戻した。何とかゴンサレスを押し返した形だ。

 判定のポイント差はやはりそこまで開いていなかった。ヤファイは思いのほか苦戦した。ゴンサレスは強かった。14位とは思えないくらいに。10位以内に入っていてもおかしくはない実力だった。
 ヤファイは苦戦を強いられたものの、その中でも進化した姿は見せたと思う。テクニックはそのままにパワーが増して、力で押し切る場面も見られた。
 ヤファイは他団体王者も気になる様子。もし統一戦が行われるとしたら、意外とアンカハスとはいい勝負をするかもしれない。

ジャーレル・ミラー VS ボグダン・ディヌ

2018年11月17日
アメリカ カンザス州マルベイン カンザススターアリーナ

○ジャーレル・ミラー[4R KO]ボグダン・ディヌ●

ミラーVSディヌ
剛腕ぶりを存分に発揮したミラー(左)

 DAZNの放送ではWBA世界ヘビー級王座決定戦と銘打たれていたものの、結局WBAの正規王座は懸からなかった。当初は正規王者のチャーにドーピングが発覚して王座が剥奪される流れだったので、この試合が王座決定戦となる予定だった。しかしチャーは再検査で陰性と出たためか王座は据え置きになった模様。興行としては盛り上がりに欠けるメインとなってしまった。

 試合は初回からミラーがプレッシャーをかけて、ディヌがさがりながらもパンチを当てていく展開。ディヌはジャブを丁寧に突きながら、ストレート系のパンチをかなりクリーンヒットさせていて、若干ミラーがぐらつく場面も。
 しかし、3回のディヌのスリップダウンをきっかけにミラーのパンチがディヌを少しずつ捕え始める。そして4回、ミラーはリング中央でのコンビネーションから左フックでダウンを奪う。ディヌは何とか立ち上がったもののダメージがある様子。再開後、ミラーが攻め込んで最後は右フックでディヌを倒して試合を決めた。

 ミラーのパンチは当たった時の音からして他と違うと感じた。パンチの振りもコンパクトで強烈だ。現時点ではチャーよりも魅力的に感じる。近い将来タイトルマッチのチャンスに恵まれることを祈りたい。