Ringside Room

ボクシング観戦記。簡単な感想を書いています。タイトルマッチ、話題の試合中心です。

2019年01月

WBO世界スーパーウェルター級タイトルマッチ ハイメ・ムンギア VS 井上岳志

2019年1月26日
アメリカ テキサス州ヒューストン トヨタセンター

○王者 ハイメ・ムンギア[判定 3-0]挑戦者 井上岳志●
ムンギアが3度目の防衛に成功。

ムンギアVS井上
苦戦しながらも判定勝利のムンギア(左)

 王者であるが未だに見せぬポテンシャルを秘めながらスターダムに駆け上がろうとしているムンギア。東洋、東アジア周辺では無敵の井上がどこまで迫れるか注目されていた試合だった。

 開始直後から井上が積極的に前に出て接近戦を仕掛けていく。ムンギアは想定よりも井上が出てきたことのに驚かされたのか、接近戦は少しやりにくそうだ。ムンギアは中間距離になると上下多彩なパンチを放ってくる。ムンギアがボディやアッパーをヒットさせているが、まだどちらが優勢とは言えない展開。

 中盤に入るとムンギアが中間距離で戦い始め、井上が少しずつ劣勢になってきた印象。井上も接近時に良い右フックを入れたりしているが、距離を詰めれる場面が少なくなってきた。

 終盤に入るとムンギアが若干失速し始め、井上が再び前に出始めて接近戦で攻める。しかし攻撃パターンを読み切られているのか簡単に反撃されて、逆に井上は膝をつきかけた。その後も井上は攻め続けるがムンギアも下がりながら要所で反撃する。乱戦のまま試合終了。

 ムンギアの判定勝利に終わったが、予想以上に井上が善戦した試合だった。井上の接近戦はかなり有効だったが、少しでも距離が離れるとムンギアが圧倒的だった。スコアには開きがあったが内容はかなりムンギアを追い詰めていたように思う。ムンギアもここ最近の試合で一番やりにくそうだった。良い試合だったし、井上の戦いぶりはもう一度見たいと思わせる内容だった。

WBA世界フェザー級タイトルマッチ ヘスス・マヌエル・ロハス VS 徐灿

2019年1月26日
アメリカ テキサス州ヒューストン トヨタセンター

○挑戦者 徐灿[判定 3-0]王者 ヘスス・マヌエル・ロハス●
ロハスが初防衛に失敗。徐が新王者となる。

ロハスVS徐
最後まで手を出し続けた徐(右)

 ロハスは前回気の毒な試合となったが今回勝利してもっと名を売っていきたいところ。徐は中国人として3人目の世界王者を目指す。

 試合は序盤から徐が手数を多く出して攻めていく。しかし次第にロハスが距離を詰め始め、ロハスが得意な接近戦になっていく。徐は下がりながらも攻めており、内容では引けを取っていない。序盤戦はどちらのペースとも言い難い。

 中盤、徐は鋭いパンチをクリーンヒットさせたりするものの、やはりロハスのパワーに押されがちだ。ロハスの強力なフック系のパンチを受けてバランスを崩す場面も。ロハスは基本的にファイター型だが、戦況を見て戦い方変えてくる。徐は少しロハスのペースに付き合ってしまうことが多かったかもしれない。

 終盤も徐は相変わらず手数が多く積極的に攻めていく。打ち終わりのところなどでロハスのコンビネーションを食らってしまうが前に出続ける。ロハスは終わりが近づくにつれて手数が減るが徐は最後まで攻め続けた。

 判定で徐が勝利し中国人として3人目の世界王者に。個人的には要所で強力なパンチを入れていたロハス優勢か引き分けもあるかなと思っていたが。徐の戦いぶりが見事だったのは確かだ。見ていてこの試合に懸ける意気込みは間違いなくロハスより勝っていたと感じたし、下がらされる場面はあったが、12ラウンドを通して退くことはなかった。ロハスは終盤の試合運びがまずかったかなという感じだ。
 徐は思いのほか差のついた判定で戴冠したが、内容は互角に近いものだったと思う。この先どうやってフェザー級の強豪とやりあっていくか見ものだ。

WBA世界ウェルター級スーパー王座戦 キース・サーマン VS ホセシト・ロペス

2019年1月26日
アメリカ ニューヨーク州ブルックリン バークレイズセンター

○王者 キース・サーマン[判定 2-0]挑戦者 ホセシト・ロペス●
サーマンが8度目の防衛に成功。

サーマンVSロペス
22か月ぶりにリングに立ったサーマン(右)

 およそ2年間のブランクで完全に評価を落としてしまったサーマン。久しぶりに表に出てきたと思えばビッグマウス連発。試合でも健在ぶりをアピールできるか。ロペスはサーマンの復帰1戦目の相手としてアップセットを狙う。

 試合は序盤から飛ばした展開となった。2ラウンドに早くもサーマンがダウンを奪う。ロペスはサーマンの左フックをカウンターでまともに食らってしまった。その後のラウンドもサーマンが強力なブローを浴びせ、試合を優勢に進める。 

 中盤、ロペスが前に出始めるが、サーマンは要所で的確なパンチを入れてペースを掴ませない。しかし7ラウンド、ロペスの左フックが状況を一変させる。まともに食らったサーマンは効いてしまい後退を余儀なくされ、防戦一方の苦しい展開に。何とかこのラウンドはしのぎ、インターバルを挟んで持ち直した。

 終盤に入るとロペスが全弾フィニッシュブローのような勢いで前に出てくる。だがサーマンの反撃の方が的確で、パンチも重そうな印象を受ける。サーマンが上手く立ち回り、ロペスは最後までとらえきれなかった。

 サーマンは判定でなんとか勝利を手にした。テクニックの差でサーマンに分があったと思う。2ラウンドに奪ったダウンは見事だった。危ない場面もあったがディフェンス面も全体的には巧みさを見せていたと思う。
 スペンスとやってほしいけど、本当にやる気があるかどうかは分からない。ポーターやパッキャオの名を出してのらりくらりとかわすつもりなのだろうか。

アダム・コウナツキ VS ジェラルド・ワシントン

2019年1月26日
アメリカ ニューヨーク州ブルックリン バークレイズセンター

ヘビー級10回戦
○アダム・コウナツキ[2R TKO]ジェラルド・ワシントン●

コウナツキVSワシントン
2Rで決めたコウナツキ(右)

 WBCとIBFでタイトル挑戦圏内上位にランクされているコウナツキが登場。相手はワイルダーに挑戦したこともあるワシントン。タイトル挑戦をアピールできる試合をしたいところ。

 試合は1ラウンドからコウナツキが積極的に重いパンチを放っていく。1ラウンド終了間際には早くもワシントンをぐらつかせた。
 2ラウンド開始直後はワシントンが前に出てきたが、コウナツキはすぐに反撃して全くペースを渡さない。右を何発かワシントンに打ち込み早くも倒した。立ち上がったワシントンに数発入れたところでレフェリーストップ。

 コウナツキは常に前に出続ける姿勢が良かった。体はしまっていないがパワーはある。ワシントンはかなり防御が甘く被弾しすぎだった。衰えがあるのかもしれないが、この階級で簡単に被弾しすぎるのは危険だ。

 ワイルダーが見に来ていたがそれほど興味が無さそうな感じだった。コウナツキはタイトル戦をアピールするような仕草を見せていたが、今のタイトル戦線に絡んでいくのはなかなか容易ではない。

IBOフェザー級王座決定戦 ツグスソグ・ニヤンバヤル VS クラウディオ・マレロ

2019年1月26日
アメリカ ニューヨーク州ブルックリン バークレイズセンター

IBOフェザー級王座決定戦兼、WBC世界フェザー級王座挑戦者決定戦
○ツグスソグ・ニヤンバヤル[判定 3-0]クラウディオ・マレロ●
ニヤンバヤルが新王者となる。

ニヤンバヤルVSマレロ
挑戦権を得たニヤンバヤル(右)

 この試合はWBC王者への挑戦権をかけたファイナルエリミネーションマッチとなった。同時にIBO王座も懸けられていた模様。強豪同士の激しい試合となった。

 試合序盤、マレロがジャブで主導権を握ろうとするが、なかなかうまくいかない。一瞬でも隙を見せるとニヤンバヤルがすかさずコンビネーションを打ち込んでくる。ニヤンバヤルのコンビネーションは速いうえに鋭く、マレロは捌ききれずに被弾している。

 中盤に入るとマレロが積極的に攻め始めてペースを握りにかかる。しかし、ニヤンバヤルの反撃も鋭く、8ラウンドにはマレロがぐらつく場面もあった。

 終盤、試合は激しさを増してくる。マレロはもう一段ギアを上げたようで、より手数が多くなってきた。しかし。ニヤンバヤルは機を見て反撃し、要所で鋭いパンチを入れている。終盤はほぼ互角の展開だった。

 ニヤンバヤルの判定勝利。要所を締めていた有効だが評価されたと思う。パワーとパンチの切れではニヤンバヤルが上だったが、テクニックではマレロの方が若干上手だったかなという印象。見ごたえのある良い試合だった。
 これでニヤンバヤルがラッセルに挑戦する運びとなる。最近、話題にも上らなくなってしまったが、フェザー級最強との呼び声も高いラッセル。ニヤンバヤルがどこまで肉薄できるか見もの。