Ringside Room

ボクシング観戦記。簡単な感想を書いています。タイトルマッチ、話題の試合中心です。

2019年03月

ラモン・ピーターソン VS セルゲイ・リピネッツ

2019年3月24日
アメリカ メリーランド州オクソン・ヒル MGMナショナルハーバー

ウェルター級12回戦 
○セルゲイ・リピネッツ[10 TKO]ラモン・ピーターソン●

ピーターソンVSリピネッツ
終盤に倒したリピネッツ(左)

 元王者同士によるウェルター級サバイバルマッチ。リピネッツはピーターソンという強敵と対戦することによってウェルター級での試金石となるだろう。ピーターソンはここで勝って、キャリア晩期に、もう一花咲かせたいところ。

 試合序盤からお互いが足を止めて打ちあう場面が多い。リピネッツのアッパーカット、ピーターソンの右ストレートとお互いの武器が冴えている。巧みなコンビネーションと手数で序盤はピーターソンが若干優勢だったが、4ラウンドあたりからリピネッツの強打が押し始めた。だが、次のラウンドではピーターソンが引かずに盛り返したりと、前半は一進一退の攻防が続いていた。

 中盤に入ってもピーターソンはテクニックを駆使して変わらず手数を出し続ける。リピネッツに多少疲れが見え始めたが、一発で試合を決められる力はまだ十分に残っている。

 10ラウンド、ピーターソンの連打に追い詰められていたリピネッツだが、打ち終わりを狙って右フックを炸裂させる。ピーターソンがよろめいたところに、追撃してダウンを奪った。同時にピーターソン陣営からタオルが投げ込まれて試合終了。

 かなり実力伯仲の好試合だった。リピネッツは、タフで粘り強いピーターソンをよく倒したものだ。今回の勝利でウェルター級のトップ戦線に絡んでいくきっかけにはできるだろう。

クブラト・プレフ VS ボグダン・ディヌ

2019年3月23日
アメリカ カリフォルニア州コスタメサ ザ・ハンガー

ヘビー級10回戦
○クブラト・プレフ[7R KO]ボグダン・ディヌ●

プレフVSディヌ
かなり流血しながらも盛り返したプレフ(右)

 プレフのアメリカデビュー戦。IBF王座への挑戦権を持っているはずだが、ジョシュアに絡めそうな気配が全くない。話題性に乏しすぎるのでアメリカで名を上げる意図もあるのだろうか。ディヌにとってはもう一度浮上するチャンスだ。

 両者とも駆け引きをしながら、隙を伺ってはテクニックを駆使したコンビネーションを放っていく。プレフの方が強打をより多く繰り出している。プレフの方がパワーで上回っていると思ったが、案外拮抗している。展開的にも序盤はほとんど互角だったかもしれない。
 4ラウンドにディヌのコンビネーションの流れの中でプレフが流血。その影響でプレフのパフォーマンスが落ち、ディヌが猛攻を仕掛けた。しかし、それ以降のラウンドではプレフが根性で盛り返して、ディヌを押し返す。
 7ラウンド、プレフはディヌをコーナーに追い込んでねじ伏せるが、後頭部を殴っていて、ダウンを奪ったことにはならず、減点を受ける。立ち上がったディヌだが、後頭部を殴られたダメージが残っており、最後はプレフが右をヒットさせてノックアウト。

 流血して追い込まれてから逆転したプレフの根性は称賛に値する。流れの中で、故意ではないかもしれないが、後頭部を殴りつけてしまったのは残念だ。ディヌも不運だった。
 高レベルな技術の応酬で見ごたえのある試合だった。プレフには残された時間が少ないが、世界戦にこぎつけることはできるだろうか。
 良い試合だったが試合後のインタビューで、プレフがジェニファー・ラヴァロにキスをしてしまい大問題に発展。軽率な行動だし、軽くではなく思いっきりキスしてしまったことが余計にダメだったと思う。

NABFフェザー級王座決定戦 ジェシー・マグダレノ VS リコ・ラモス

2019年3月23日
アメリカ カリフォルニア州コスタメサ ザ・ハンガー

○ジェシー・マグダレノ[判定 3-0]リコ・ラモス●
マグダレノが新王者となる。

マグダレノVSラモス
復帰戦で強敵に完勝したマグダレノ(右)

 地域王座戦とはいえ元世界王者同士の興味深い一戦。この興業のメインより楽しみにしていたが、ラモスの体重超過でかなり興味を失ってしまった。マグダレノは復帰戦となるが、それにしては、なかなか骨のある相手だ。

 初回からマグダレノが飛ばしていく。それ以降も丁寧にジャブをつきながら、機を見ては飛び込んで上下のコンビネーションを放っていた。ラモスは待ち構えて迎撃する作戦のようだが、いまいちマグダレノのコンビネーションに合わせきれていない。マグダレノが時折、鋭い右フックなどをクリーンヒットさせていて優勢に映る。
 後半に入ってもラモスに積極性は見られない。それどころか集中力が多少落ちてきた。マグダレノは運動量がほとんど落ちず、ラモスが終盤に仕掛けた場面も押し返せていた。

 判定でマグダレノの勝利。マグダレノはフェザー級でもやっていけそうだ。ラッセルは別として、今の他の王者勢となら良い試合をするのではないだろうか。

アンドリュー・セルビー VS フリオ・セサール・マルティネス

2019年3月23日
メキシコ メテペック フェアグラウンドエキシビジョンセンター

WBC世界フライ級王座挑戦者決定戦
○フリオ・セサール・マルティネス[5R KO]アンドリュー・セルビー●

セルビーVSマルティネス
倒しきったマルティネス(左)

 セルビーが敵地メキシコで試合に臨むのが意外だった。この試合はWBC世界フライ級王座への挑戦権を懸けたファイナルエリミネーションマッチ。チャンスは貪欲につかみに行にいくということだろう。

 初回からセルビーが良く動いて、マルティネスと一定の距離を保ちながら巧みに戦っている。コンビネーションも冴えているし、捌きながら距離を支配している。
 しかし、4ラウンドあたりからマルティネスがセルビーをとらえ始めた。そして5ラウンド、マルティネスの強烈な左が、セルビーのボディに突き刺さった。セルビーはダウンしてキャンバスに崩れた。セルビーは続行する意思を見せられずカウントアウト。

 マルティネスが番狂わせを起こしたかたちだ。しかし、セルビーを相手に追い詰めて最後倒した実力は本物かもしれない。王者エドワーズに挑むことになるが、それもまたスタイルマッチとなるだろう。予想しにくく、面白い対戦になりそうだ。

WBC世界フライ級タイトルマッチ チャーリー・エドワーズ VS アンヘル・モレノ

2019年3月23日
イングランド ロンドン カッパーボックスアリーナ

○王者 チャーリー・エドワーズ[判定 3-0]挑戦者 アンヘル・モレノ●
エドワーズが初防衛に成功。

エドワーズVSモレノ
手数とフットワークで圧倒したエドワーズ(右)

 ロサレス相手にアップセットを起こして戴冠したエドワーズの初防衛戦。この防衛戦はクリアするであろうという大方の予想ではあったが。王者としての今後を占う重要な一戦でもある。

 エドワーズは動き回りながら隙を見て2~3発ずつ連打で仕掛けていく。そして打ち終わるとすぐに相手の目の前から消える。モレノは離されまいと必死に食らいついているが、エドワーズの動きが速く、とらえきれない。

 中盤以降もエドワーズは巧みにヒットアンドアウェイを展開していく。モレノが突っ込んできてもガードしてしのいで打ち返している。8ラウンドにモレノはフックをひっかけられた後、踏み込んだ際にバランスを失って倒れた。これがダウンの裁定。パンチが当たった後に倒れたのは確かだが、モレノにとっては不運なダウンとなってしまった。

 終盤に入ってもエドワーズは運動量が落ちない。それどころかスタミナはまだ余裕すらありそうだ。モレノは蓄積されたダメージが表面化してきた様子。モレノががむしゃらに前に出る場面もあったが、エドワーズはほとんど苦労することなく捌ききった。

 エドワーズの判定勝ち。戴冠した時よりも自分の武器を磨いていてスタイルを確立しつつあると感じた。これからまだ伸びしろがありそうだ。次戦にも期待したい。