Ringside Room

ボクシング観戦記。簡単な感想を書いています。タイトルマッチ、話題の試合中心です。

ミニマム級

WBO世界ミニマム級タイトルマッチ ウィルフレド・メンデス VS アクセル・アラゴン

2019年10月26日
プエルトリコ トルヒージョ・アルト コルセオ・ルーベン・サイヤス・モンタニェス

○王者 ウィルフレド・メンデス[7R負傷判定 2-1]挑戦者 アクセル・アラゴン●
メンデスが初防衛に成功。

メンデスVSアラゴン
辛くも初防衛に成功したメンデス(右)

 数日前に急遽挑戦者が変わってしまったメンデスの初防衛戦。もともと下位ランカーとの試合が組まれていたが、変更時ノーランカーだったアラゴンとの試合となり、より楽しみがなくなってしまった。メンデスはここは簡単にクリアしなければいけない。

  序盤からメンデスが体格差を活かしてロングレンジからヒットアンドアウェイで堅実に戦っている。アラゴンはかなり小さい。一気に踏み込まないと何もできないだろうと思っていた矢先の4ラウンド、一瞬の隙をついて距離を縮め、カウンターの右フックからの連打でダウンを奪った。

 ダウンを奪ったことで5ラウンドから勢いづくアラゴン。しかし、メンデスが鋭いボディを浴びせるなどしてアラゴンの動きを止め、ペースを取り戻した。アラゴンは6ラウンドに額を切ってしまい、この傷が響いて7ラウンド開始時のドクターチェックでストップ。

 負傷判定でメンデスの勝利。アラゴンは続行できればまたチャンスがあったかもしれないので悔しそうだ。勝ったものの、メンデスは思わぬ相手に醜態を晒してしまった。次の防衛戦では王者たる実力を示したいところ。

WBC世界ミニマム級タイトルマッチ ワンヘン・ミナヨーティン VS シンピウェ・コンコ

2019年10月25日
タイ チョンブリー県 シティーホールグラウンド

○王者 ワンヘン・ミナヨーティン[判定 3-0]挑戦者 シンピウェ・コンコ●
ワンヘンが12度目の防衛に成功。

ワンヘンVSコンコ
攻め立てるワンヘン(右)

 相変わらず安定して勝ち星を重ねているワンヘンの防衛戦。層の薄い階級故に評価されていないが、自信が持つ世界記録54連勝の更新もかかる。コンコは1位の指名挑戦者。世界挑戦経験もあり実力はあるだろうが、タイではやはり不利だろう。

 序盤からワンヘンの上下の打ち分けが冴えている。コンコは的確に打ち返してはいるが、自信が被弾する場面が多い。

 中盤もワンヘンが先手を取りながらコンビネーションでクリーンヒットを重ねていく。7ラウンド、終了のゴングと同時のタイミングでワンヘンの右ストレートが鮮やかにヒットしコンコはダウン。コンコはその後のラウンドではダメージを感じさせず反撃しているが、序盤よりパンチの精度が低くなった。

 9ラウンドあたりからワンヘンが明確にペースを握り始めた。コンコは疲れもダメージも感じさせはしないが、どこなく攻めあぐねている。そのあたりの攻防がワンヘンは巧い。

 判定でワンヘンの勝利。安定感ある試合運びでV12達成。コンコは良いボクサーだったと思うが力及ばず。誰かあともう少しワンヘンに肉薄できる挑戦者が表れてほしい。そして、できればタイから引きずり出してくれると面白い。

IBF世界ミニマム級王座決定戦 サミュエル・サルバ VS ペドロ・タドゥラン

2019年9月7日
フィリピン メトロマニラ タギッグ市 バランガイフォートボニファシオ フィリピン海兵隊ジュラドホール

○ペドロ・タドゥラン[4R TKO]サミュエル・サルバ●
タドゥランが新王者となる。

サルバVSタドゥラン
着実に実力をつけてきたタドゥラン(右)

 クリエルが返上した王座を懸けた決定戦。両者ともに世界レベルを味わっている者同士の戦いとなった。ミニマム級ではなかなかの好カードなのでは。

 1ラウンドからハイペースでタドゥランが攻めていく。だが、サルバが後退しながらも一瞬の隙をついて、カウンターの右ストレートでダウンを奪った。
 ダウンを喫したもののタドゥランは2ラウンド以降も臆さず積極的に前に出続ける。徐々にサルバが捌ききれず被弾する場面が増えていった。
 4ラウンドに入るとサルバはもう防戦一方。一方的に攻められ、体を入れ替えてもすぐにコーナーやロープに詰められる。タドゥランの飛ばし気味のペースが功を奏している。

 一方的となりダメージもあったのか5ラウンド開始時にサルバがコーナーから出てこれず、そこで試合が終了となった。
 このタイトルに懸けるタドゥランの気合を感じた試合だった。タイでワンヘンに負けた時より確実に強くなって王者に相応しい実力をつけたと思う。

WBO世界ミニマム級タイトルマッチ ビック・サルダール VS ウィルフレド・メンデス

2019年8月24日
プエルトリコ サンファン プエルトリコ・コンベンションセンター

○挑戦者 ウィルフレド・メンデス[判定]王者 ビック・サルダール●
サルダールが2度目の防衛に失敗。メンデスが新王者となる。

サルダールVSメンデス
冷静な試合運びを見せたメンデス(右)

 日本でもお馴染みのサルダールの防衛戦。またも敵地に乗り込むことになり、今回はプエルトリコでの試合となった。指名挑戦者のメンデスはNABOを獲っていて確かな実力はあるはずだ。

 序盤からメンデスのヒットアンドアウェイが冴えている。サルダールは大きなパンチを狙っているようだが、空転させられる場面が多く、打ち終わりを狙われたりしている。

 中盤、サルダールが距離を詰めてとらえはじめた。5ラウンドには左フックでダウンを奪った。その後のラウンドも攻勢に出ていたが、メンデスのダメージはそれほどなく、メンデスの動きは止まらない。

 終盤になると再びメンデスのフットワークが冴えてくる。サルダールは強打を狙っていたが翻弄されてまともに狙いが定められず最後まで走られた。

 メンデスの判定勝利。メンデスは最後まで足が止まらずアウトボクシングが光った。ダウンを一度喫したものの、中盤に詰められたところ以外はほぼ全部ポイントを取っていただろう。パワーでは間違いなくサルダールが上だったが、ほとんど強打を当てられなかった。
 サルダールが勝てばワンヘンを統一戦に引っ張り出せたかもしれないので少し残念だ。

WBA世界ミニマム級タイトルマッチ ノックアウト・CPフレッシュマート VS アルアル・アンダレス

2019年8月2日
タイ ナコンサワン シティーホールグラウンド

○王者 ノックアウト・CPフレッシュマート[負傷判定 3-0]挑戦者 アルアル・アンダレス●
ノックアウトが11度目の防衛に成功。

ノックアウトVSアンダレス
負傷判定ながらも激闘を制したノックアウト(左)

 この階級ではワンヘンに目がいきがちだが、ノックアウトも長期防衛を続けている。しかし、やはりタイでの試合がほとんど。今回もホームでの試合となりアジア王者のアンダレスを迎え撃つ。

 序盤から激しい打ち合いになった。どちらも退くことなく中間距離で攻防戦を繰り広げている。その中でアンダレスはタイミングよくカウンターを合わせ、ノックアウトはコンビネーションと巧みな体さばきで対抗している。

 中盤も打ち合いが続く。アンダレスも良いブローを入れているが、手数と精度でノックアウトが上回ってきた。8ラウンド、ノックアウトが左の瞼を大きく切ってしまいここで試合は止められた。

 負傷判定でノックアウトの勝利。ポイント差は妥当だったと思う。負傷判定決着というのが興を削ぐものではあったが、アンダレスが予想以上に強く激闘となり、内容は良い試合だった。