Ringside Room

ボクシング観戦記。簡単な感想を書いています。タイトルマッチ、話題の試合中心です。

ライト級

WBA世界ライト級王座決定戦 ジェルボンタ・デービス VS ユリオルキス・ガンボア

2019年12月28日
アメリカ ジョージア州アトランタ ステートファームアリーナ

○ジェルボンタ・デービス[12R KO]ユリオルキス・ガンボア●
デービスが新王者となる。

デービスVSガンボア
打ち合いを制したデービス(左)

 デービスのライト級初戦にしてレギュラー王座決定戦となった。デービスはライト級でも遺憾なく力を発揮するだろう。対するガンボアはかつての自分のような相手とやることになった。今では不利だろうが、デービスの快進撃を止められるかもしれないという期待はある。

 序盤からデービスが優勢に攻める。2ラウンドには見事なタイミングで強烈な左フックを入れて早くもダウンを奪った。ガンボアはすぐに立ち上がりはしたが、おそらく効いていて、その後もダメージが若干尾を引いている。

 中盤、ガンボアは少し動きが良くなりデービスと真っ向勝負。長引けば不利だろうがガンボアのスタイル的にはこの手しかない。フィジカルでは負けていないが、撃ち合うと的確さでデービスが上回る。そして、8ラウンド、デービスが再び左フックでガンボアを倒した。

 終盤、ダメージがありながらもガンボアは1発の怖さを見せながら攻める。デービスを退かせる場面もあった。だが、最終的にはデービスが打ち勝って、12ラウンドに左アッパーでガンボアに尻もちをつかせた。レフェリーはノーカウントでここで試合を止めた。

 デービスがKO勝利で王座戴冠。打ち合いの多い熱戦だった。ガンボアが力負けすることはなかったが、デービスは撃ち合いながらも冷静によく見極めて的確だった。デービスにとってはここ最近の試合ではかなりの強敵だったと思う。

IBF世界ライト級タイトルマッチ リチャード・コミー VS テオフィモ・ロペス

2019年12月14日
アメリカ ニューヨーク マジソンスクエアガーデン

○挑戦者 テオフィモ・ロペス[2R TKO]王者 リチャード・コミー●
コミーが2度目の防衛に失敗。ロペスが新王者となる。

コミーVSロペス
衝撃のTKO劇で見事戴冠したロペス(右)

 ロペスは挑戦者決定戦で中谷に苦戦して以来、メディアでもあまり取り上げられなくなってしまった。実際のところは五分五分ぐらいか。ロマチェンコが異次元なだけでコミーも強い王者だと思う。ロペスは軽く超えていけるようならポテンシャルは本物だ。

 1ラウンドからコミーが出し惜しみせず伸びのある危険な右ストレートを放っていく。ロペスはよく見ながら打ち終わりを狙うなどして応戦。迎えた2ラウンド、両者相打ちのタイミングで右ストレートを放った。コミーのパンチは届かず、ロペスの右が強烈にコミーの顔面をとらえた。コミーはダウンし、すぐに立ち上がろうとするものの、転げまわるぐらい効いている。何とか再開となったが、ロペスがロープ際で一方的にラッシュを仕掛けたところでレフェリーが止めた。

 ロペスが新王者となった。新進気鋭のプロスペクトが一気にスターダムへと駆け上った。そしてIBF王者として改めてロマチェンコに戦線布告。ベルトを持っているならばロマチェンコは相手にするだろう。ロペスの念願の戦いがついに実現しそうだ。中谷戦で酷評していたメディアを衝撃のKO劇で黙らせたのは痛快だ。明確なかたちで実力でベルトを奪い取った。もう誰に何と言われようと王者として堂々と統一戦に臨めばいい。

WBC世界ライト級タイトルマッチ デビン・ヘイニー VS アルフレド・サンティアゴ

2019年11月9日
アメリカ カリフォルニア州ロサンゼルス ステープルズセンター

○王者 デビン・ヘイニー[判定 3-0]挑戦者 アルフレド・サンティアゴ●
ヘイニーが初防衛に成功。

ヘイニーVSサンティアゴ
肩を負傷しながらもほぼ完封したヘイニー(左)

 楽しみにしていた人には申し訳ないが、はっきり言ってKSIとローガン・ポールの試合など、どうでもいい。ボクシングの興業としての格を保つためには、このカードをもっとプッシュすべきだった。アメリカ人で才能ある若者が立派な王者ではないか。
 ロマチェンコがフランチャイズ王者になったため正規王者に格上げされたヘイニーの防衛戦。挑戦者は紆余曲折を経て無敗のサンティアゴとなった。地域王座などを獲っているのでそれなりの実力はあると思われる。

 予想していたよりサンティアゴの動きが良い。序盤に関してはヘイニーと渡り合えている。精度はそれほどだが追っていってクリーンヒットを当てたりしている。しかし、やはりヘイニーの方が多彩で要所で強打を入れる巧さがある。
 
 5ラウンド、お互い少し力が入ってきたところだが、ヘイニーが先にサンティアゴの動きを見切り始めた。そしてコーナー付近に詰めたところを左右のフックで綺麗にダウンを奪った。その後のラウンドではサンティアゴも果敢に反撃の姿勢を見せるが、流れはヘイニーが握っている。

 終盤、サンティアゴは下がりがちではあるが攻撃の姿勢は見せている。だが、ヘイニーは紙一重のタイミングをものにしてクリーンヒットを当てていく。少しの隙も逃さないところが上手だった。

 判定でヘイニーの勝利。サンティアゴは良いボクサーだと思う。さらに経験を積めば再び上位戦線に絡めるかもしれない。ヘイニーは肩にトラブルを抱えていたようだが、それでもほとんどいつもと変わらない動きでフルラウンド戦って勝ち切ったところは流石だと思う。

WBCシルバー,NABOライト級タイトルマッチ ライアン・ガルシア VS ロメロ・デュノ

2019年11月2日
アメリカ ネバダ州ラスベガス MGMグランドガーデンアリーナ

○挑戦者 ライアン・ガルシア[1R KO]NABO王者 ロメロ・デュノ●
デュノがNABO王座の初防衛に失敗。ガルシアがNABO,WBCシルバー新王者となる。

ガルシアVSデュノ
1ラウンドでデュノを粉砕したガルシア(右)

 空位のWBCシルバー王座と、デュノが持つNABO王座が懸けられる模様。タイトルはさておき、これからを担うプロスペクト同士がぶつかり合う非常に魅力的なマッチメイクだ。純粋な面白さはメインよりあるかもしれない。予想が難しい楽しみな一戦。

 開始からガルシアのパンチが力強く的確にとらえている。デュノも頭を振りながら接近してパワフルなパンチを放つ。1分半過ぎ、ガルシアのワンツーが炸裂し、デュノがダウン。とても立てそうにはなく、レフェリーがストップ。

 驚きの1ラウンドKOでガルシアが勝利。もつれると思っていた予想は完全に外れた。デュノが油断していたわけではなくガルシアが想像以上に強かった。1ラウンドKOだからといって、ただの僥倖ではなく、明らかな実力差だったと思う。ガルシアはまたひとつステップアップした。確実に強くなりながらスターダムへと駆け上がっていく。

リッキー・バーンズ VS リー・セルビー

2019年10月26日
イングランド ロンドン O2アリーナ

ライト級12回戦
○リー・セルビー[判定 2-0]リッキー・バーンズ●

バーンズVSセルビー
着実にポイントを重ねたセルビー(左)

 ネームバリューもあり実力者同士のサバイバルマッチ。両者ともにこの試合に勝ってもう一度浮上の目をつかみたいところ。

 序盤、セルビーのフットワークが冴えていて、距離を取りながら的確に攻めている。バーンズはここまでのところ強引に間合いを詰めてかかるしか打つ手がない。

 中盤からバーンズが少し距離を詰めてくる。しかし、セルビーはうまくかいくぐって堅実なアウトボクシングを続ける。バーンズは前に出るにしてもちょっと中途半端だ。

 終盤はクリンチが多発。お互いの攻撃を両者ともクリンチで潰している。判断しずらい展開だが、的確さではやはりセルビーかといったところ。

 判定でセルビーの勝利。バーンズにとっては痛い敗戦。セルビーはライト級でランキング上位につけており、この階級は状況次第となるがチャンスがもらえるかもしれない。