Ringside Room

ボクシング観戦記。簡単な感想を書いています。タイトルマッチ、話題の試合中心です。

ミドル級

WBO世界ミドル級タイトルマッチ デメトリアス・アンドラーデ VS ルーク・キーラー

020年1月30日
アメリカ フロリダ州マイアミ メリディアン・アット・アイランド・ガーデンズ

○王者 デメトリアス・アンドラーデ[9R TKO]挑戦者 ルーク・キーラー●
アンドラーデが3度目の防衛に成功。

アンドラーデVSキーラー
全く相手を寄せ付けなかったアンドラーデ(左)

 アンドラーデはなかなか印象に残る相手との試合が少ない。今回もキーラーという知名度の低い相手との防衛戦となった。

 開始早々、10秒も経たないうちにアンドラーデがワンツーで倒した。キーラーは動きが硬い。2ラウンドにもアンドラーデが左ストレートでダウンを奪った。キーラーは動揺を隠しきれず、主導権は完全にアンドラーデが握る。

 5ラウンドあたりからはキーラーにダメージが表れてきた。キーラーは距離感も中途半端だし、劣勢な状況を打開できそうな気配もない。アンドラーデはやりたいように自分のボクシングをしている。
 そして、9ラウンド、アンドラーデが右アッパーを起点としたコンビネーションを立て続けにクリーンヒットさせ、キーラーがよろめいた。一気に詰めたところでレフェリーが割って入った。

 アンドラーデの完勝。おそらく取られたラウンドは1ラウンドもないだろう。キーラーは出鼻を挫かれたとはいえ、あまりにも無策だった。立て直すきっかけすらつかめず、窮地に陥った時のファイトプランがまるで無かった。

OPBFミドル級タイトルマッチ 細川チャーリー忍 VS 竹迫司登

2020年1月18日
日本 東京 後楽園ホール

○挑戦者 竹迫司登[判定 3-0]王者 細川チャーリー忍●
細川が初防衛に失敗。竹迫が新王者となる。

細川VS竹迫
終始ペースを握っていた竹迫(左)

 OPBF王者の細川と日本王者の竹迫が激突。世界を見据える強者同士のマッチアップ。おそらく国内ミドル級最強決定戦だろう。

 序盤から竹迫の右ストレートが細川をよくとらえている。細川も多少返しながら同じ距離間で勝負をしたそうな様子ではあったが些か悪い。

 中盤も相変わらず竹迫のペースで試合が進む。左ボディもよく入るようになってきた。細川はちょっと簡単にもらいすぎている。そしてダメージからか反撃もできずクリンチで逃れるしかない。

 終盤、劣勢な細川が逆転を狙って前に出ようとするものの、竹迫が押し返してそうはさせなかった。細川はほとんど見せ場を作れず試合終了。

 判定で竹迫の勝利。竹迫はKOを逃したが、今回は細川の打たれ強さが優れていた。その他全般においては竹迫が格段に上回っていた。絡みついてくる相手をもっとスムーズに剥がせていたらKO勝利もあったかもしれない。

ハイメ・ムンギア VS ゲイリー・オサリバン

2020年1月11日
アメリカ テキサス州サンアントニオ アラモドーム

○ハイメ・ムンギア[11R KO]ゲイリー・オサリバン●

ムンギアVSオサリバン
転級初戦のムンギア(左)

 ムンギアのミドル級転向初戦。ミドル級でも通用すると思われるが、この試合がひとつの指標となるか。そして、それを示すにはオサリバンは絶妙な相手と言える。ネームバリューもあり、転級初戦としては盛り上がりも十分だ。

 序盤、慎重さを見せながらもムンギアが持ち前のパワーを活かして攻める。しかし、回を追うごとにオサリバンも臆することなく正面から攻め始め、スリリングな展開となっている。

 中盤あたりから打ち合いが激しさを増してきた。その中で徐々にムンギアの方が連打の回転力で勝るようになり、オサリバンは退いてはいないが、ダメージが蓄積されつつある。

 終盤はパワー差が顕著になり、オサリバンは押され気味で明らかにダメージがある。だが、ムンギアの強打をもらっても前に出続け、粘りを見せる。迎えた11ラウンド、ついにムンギアが完全にスキルとパワーで上回り、ロープ際でラッシュしてオサリバンを倒した。オサリバンが右をもらった時点で陣営はタオルを投入しており、崩れると同時にレフェリーが止めた。

 ムンギアはミドル級初戦勝利。強打をカウンターで当てても倒れずに食い下がるオサリバンに苦労したが、最後は明確な形で倒しきった。パワーは十分だし動きにキレもある。ムンギアの場合は減量苦から解放された恩恵が大きいように感じた。

WBA世界ミドル級タイトルマッチ 村田諒太 VS スティーブン・バトラー

2019年12月23日
日本 神奈川県横浜市 横浜アリーナ

○王者 村田諒太[5R TKO]挑戦者 スティーブン・バトラー●
村田が初防衛に成功。

村田VSバトラー
豪快に倒して勝った村田(右)

 王座を奪還した村田の初防衛戦。日本のメディアは相手のバトラーを最強の挑戦者のように煽るが、そこまで手ごわいと言えるような実績をもつ相手ではない。地域王座やマイナータイトルを獲っているのでそれなりの実力はあるとは思うが。村田は勝利は前提として明確な勝ち方をしないと次につながらないだろう。

 序盤から村田が出し惜しみなく右を軸に攻めていく。パワーは村田の方が上。だが、バトラーも簡単には退かず応戦。なかなか退かない相手に村田はより強くプレッシャーをかける。半ば強引に見えたが、回を追うごとにコンビネーションも的確に当たり始めた。
 
 迎えた5ラウンド、何度も村田の右を浴びてきたバトラーが、またもや強烈な右ストレートを浴びてついに崩れた。そこから村田が連打を仕掛けて、コーナー付近でバトラーをキャンバスに沈めた。

 多少打たれたが、ほぼ難なく村田の勝利。バトラー相手には十分な内容だったと思う。バトラーはプランBがあればもう少し粘って戦えたかもしれない。引き出しが少なかった。

 村田がインタビューで言っていたリアルな戦いがどうなるか気になる。ゴロフキンやカネロ戦が実現したら熱いが実際は難しいだろう。チャーロとアンドラーデは統一戦をするかもしれないし王者勢は厳しいかもしれない。もしくは暫定王者のユーバンクでも十分リアルな相手だと思う。いきなりは無いと思うがムンギア戦などが決まったらかなり驚く。

WBC世界ミドル級タイトルマッチ ジャモール・チャーロ VS デニス・ホーガン

2019年12月7日
アメリカ ニューヨーク州ブルックリン バークレイズセンター

○王者 ジャモール・チャーロ[7R KO]挑戦者 デニス・ホーガン●
チャーロが3度目の防衛に成功。

ジャモールVSホーガン
強烈な左を叩き込むチャーロ(右)

 ミドル級最強の呼び声もあるジャモール・チャーロの防衛戦。やはり避けられているのか、なかなかビッグマッチに恵まれない。ホーガンはムンギアに負けて、今度は階級を上げてチャーロに挑戦。不利と思われるが気合の入ったマッチメイクは讃えたいところ。

 序盤、ホーガンが軽快なステップワークとスピードを活かしてアウトボクシングを展開。チャーロは最短距離で追いつつ、強打を打ち込む隙を伺っている。4ラウンド開始早々、チャーロがカウンターの強烈な左アッパーでダウンを奪った。
 
 ダウンを喫してから明らかにホーガンの動きが鈍った。チャーロの追い込み方にも少し余裕が感じられる。そして迎えた7ラウンド、チャーロがロープ際で左フックを叩き込んで倒した。ホーガンは立ち上がったものの続行の意思を見せられず試合終了。

 チャーロが良い印象をつける勝ち方で防衛成功。ホーガンのスピードを活かして戦うファイトプランは間違ってはいなかったと思うが、とらえられたのが全て。チャーロが総合的に上回っていたということ。